感想:徳間書店『海辺の王国』を読む。
- 作者: ロバートウェストール,Robert Westall,坂崎麻子
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1994/06
- メディア: 単行本
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ああ、海の日に更新できれば良かったなあ。
どうも草間ノブユキです。色々と忙しく読みたい本も満足に読めていない状況に苛立ちを感じたり感じなかったり(笑)
…本だけが増えていく、そろそろ置く場所の検討もしないと。
倉庫の出番ですね、わかります。
という訳で(?)Blog、最近更新できていないです。見ている人がいるのかわからないのですができるだけ更新を頑張って行きたいと思います。
あらすじ(作品紹介)
僕ことハリー・ハグリーは空襲には慣れていた。
空にサイレンが響き渡ると夢から抜け出し、任されていた仕事をするために荷物を持って先に防空壕に向かって走った。
いつもならすぐにやってくるパパやママ、それからダルシーがこない。
待っているとドイツ機が真上を通る音が聞こえ、続けて今までとは違う空を切る音が――それは悲鳴に変わった――した。
僕は10まで数えようとする。
無事に数えられれば当たらなかったということ。けれども覚えているのは「7」と言ったところまでだった。
…そして家と家族を失った。
以下レビュー(感想)ぽい何か、という名の雑記
第二次世界大戦のイギリスが舞台で、全19の章で成り立っています。
家と家族を失った12歳の主人公、ハリー・ハグリーは親類の家で保護されることを拒み、自分の場所を探してかつて家だった場所を後にします。
安っぽい言葉で言うなら戦争の悲劇のせいで。
戦争を扱った作品ではありますが重々しくはないので、そういった点では読者を選ぶことはないと思います。
ちなみに僕は、現代の物語でありながら特殊な状況下に置かれたために実現する非日常的物語に興味を引かれました(←本当にそんな理由かよ!w)。
序盤、かつて家だった場所を後にしたハリーは海辺で生活を始めます。
今までの生活とは全く異なっているため、自分でしなければならないことだらけであり、創意工夫を凝らす様は読んでいてワクワクします。
主人公があれこれ考えてなにかするのは面白いですよね?
「十五少年漂流記」とか、ああいった作品でよく見られる感じのタイプは特に。
あと犬のドンの登場ですね。
最高の友達とベタな表現ですが、まさにそんな感じの犬であるドンが登場しハリーとともに生活をします。
その後、ハリーは海沿いを点々とすることになり、その中で様々な人に出会います。親切な人や心に痛みを抱えた人、残酷で歪んだ人など。
そういった出会いを通してハリーは大きく成長していきます。
…と雑にまとめましたが話の流れについてはそんな感じです。
また、家と家族を失ったハリーが生きるため、強くあろうとしている描写が多々あり、そこに心を揺さぶられるわけですが(少なくとも僕は)、それがいい。
人との触れ合いに関して言えば、「雨宿り」の7章,「兵舎での日々」の9-12章,「老婦人の客人」の13章,「マーガトロイドさんとの日常」の16-18章が純粋に好きです。
親切な人や心に痛みを抱えた人が中心となるEPとなっています。
また、6章の怒り狂った農夫*1や13章の信仰なき信者*2とのやり取りも好きで、嫌な奴が出てくる場面なんですが、そこではハリーが際立ちます。
※上記に用いた章題は便宜上つけたものであり作中のものではありません。
読み始めるまでが長かったですがとっても面白かったです。
もっと早くに読んでい(ry*3…、実にもったいない。
「海辺の王国」とはなんであったのかわかったとき、最高の読書体験へと変わるのではないでしょうか。自分の「王国」を探してみてください。
お子さんの夏の読書にオススメです(読書感想文とは別に)。
ちなみに一時期、宮崎駿監督推薦の帯を付けて販売されていたかと思います。作者ロバート・ウェストールのファンだとかそうでないとか。
……と、今回もレビューっぽい何かでした。
前回更新からだいぶ空いてしまいましたが、できればあまり空けずに行きたいところ。できるだけ頑張ります。
次回も読んで頂けたら幸いです。それでは失礼します。
(文・草間ノブユキ)