感想:ハヤカワSFシリーズJコレクション『〔少女庭国〕』を読む。
久々のレビューっぽい何かである。
表紙に惹かれて購入しました。パッと見、表紙(表)の左手の女の子が勇ましく歩いているように見え、何かと戦うことを期待して。
中3の仁科羊歯子が、目覚めるとそこは暗い部屋だった。卒業式会場の講堂へと続く狭い通路を歩いていたはずなのに。
一通り確認し、隣の部屋に続くドアに貼り紙を見つける。
卒業生各位。
下記の通り卒業試験を実施する。
ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、
n-m=1とせよ。
時間は無制限とする。
ドアを開けると、同じく寝ていた中3女子が目覚める。
またたく間に人数は13人に膨れ上がる。脱出条件=“卒業条件”に対して彼女たちがとった行動は…。
以下レビュー(感想)ぽい何か、という名の雑記
いやー、このあらすじを読んだとき驚きました。卒業式に向かっていただけなのに急に条件を付きつけらるとは。
僕だったら戸惑ってしまうだろうなあ(笑) そして…
進撃の巨人とか流行っている作品に似ている部分はあるかも*3。
で、この作品、表題作はそれほど長くないんですよね。大体、60頁くらいかなあ。あと、残りの200頁弱くらいは補遺です。
色んな女の子が暗い部屋で目覚めては××したり、しなかったりするんですよね。××の内容は、脱出条件=“卒業条件”を満たすに殺し合ったり、この閉じた世界で社会を作って生きていったりと、色々あるのですが。
この辺りは読んだほうが分かり易いですね、きっと。
閉じた世界では現実の世界で起こった様なことが起こります。技術だったり、哲学だったり、文化だったり、が花開く。
この辺りが面白かったんです。閉じ込められて部屋からの脱出(n-m=1とせよ)というような話を書こうとすると、どうしても「バトル・ロワイアル」的なものになりがちなんですが、この作者はそうしなかった。
ここが大したものだなあ、と。これ以上はネタバレになるのでここまで。
一味変わったものが読みたいと思った時に如何でしょうか?
損はしないと思いますよ?
…とレビューっぽい何かでした。
次回も読んで頂ければ幸いです。それでは失礼します。
(文・草間ノブユキ)